ある日 お山の どうぶつたちが
がっしょうだんを 作ることに なりました。
さぎさんは 「わたしは ぜったいソプラノね。
だって、こんなに スタイルは いいし」と
じしんたっぷり。
うまくんは 「ぼくは どうみても テナーだね。
なぜって、足ははやいし かっこうが いいから」
ひつじさんは アルトに きめています。
なぜなら けいとで あんだ すてきな ドレスが
もうすぐ できるので。
ファッションショーの つもりなのです。
かばさんは 「とうぜん バスは ぼくのものだ。
からだも 声も こんなに 大きいんだから」
と のんきな ようす。
ピアニストは カンガルーさん おや子に。
4本の手なら じょうずに ひけますから。
それで、 れんしゅう かいし!
でも・・・。
みんなが 大声で かってに 歌うので バラバラです。
そこで しきしゃを きめることに。
みんな 「わたし、なりたい!」とさけびましたが
とつぜん ライオンくんの ひと声が
ひびきわたりました。
「もちろん、しきしゃは おれだよ!」
・・・だれも ライオンくんには さからえないのです。
こうして どうぶつ がっしょうだんが はじまりました。
まいにち 森は どうぶつたちの 歌ごえで
いっぱいに。
らいげつの デビューコンサートも きまり
みんな 大はりきり。
「きしゃぽっぽ」と「われは うみのこ」が
みんなの おきにいり。
でも きしゃは お山の むこうで
みたことは ありますが、だれも 海というものを
みたことが ありません。
そこで、みんなで 歌いながら 海を
みにいくことに。
わ~い、 えんそくだ !
はじめてみる 海は それは すてきでした。
どこまでも ひろく とっても しょっぱくて
なみが 貝がらを あらっています。
みんな 声が かれるほど 歌いました。
よるになると お空は お星さまで びっしり。
なんだか 森のなかで みるよりも きれいです。
海から かえり しばらくした ある日
らくださんが となかいくんに
「きみの つのは すてきだけど どこで
生まれたの?」
と きょうみぶかそうに ききました。
「あ、ぼくは この お山のふもと。
おじいさんは サンタさんと
なかよしだったって」
「らくださんこそ その まあるい コブは
みりょくてき。どこで 生まれたの?」
「ああ わたしも おなじ お山の 生まれ。
おばあさんは とおい さばくの 生まれだったって」
そういえば ぞうさんも きりんさんも ライオンくんも
ひつじさんも コアラくんも カンガルーさんも
みんなみんな おなじ この お山うまれ。
それぞれ もともと とおい国の うまれなのに・・・。
みんな だれも ふるさとを しらないのです。
そう、しぜん どうぶつえんで 生まれた なかまだったのです。
「そうだ! みんな ふるさとを しらないんだから
大声で 歌いながら たびに でようよ。」
と キリンさんが いいました。
「それは すてき!」 と みんな 大はしゃぎ。
でも どうやって いくの?
「だいじょうぶ! わたしの なかまが てつだって
空を とんで いけるわ」と さぎさん。
にじを わたり ふねに のり 空を とんで
いきましょう。
こうして どうぶつ がっしょうだんの なかまたちは
おじいさんや おばあさんの 生まれこきょうを
めざして ながいながい たびに
でることになりました。
さて どんな たびに なるのでしょうか。
たのしみですね。